追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
ジョーの頑強な体に包まれて、体がどくどくとうるさい。

「じ、ジョー……離して!」

 苦し紛れに告げるが、離してくれるはずもない。

「どきどきする……私の体、おかしい……」

 ジョーを必死で押し退けようとするが、最強の男はびくともしない。私を抱きしめる手に、さらに力が入った。

「ジョー!!」

 もがく私を抱きしめて、ジョーは耳をぺろっと舐める。体がかぁーっと熱くなり、立っているのがやっとだ。
 そのまま、ジョーは私を抱きしめたまま、首筋にちゅっちゅっとキスをする。ジョーに口付けされるたび、ぞわっと体が粟立った。

 このまま流されてはいけないと思い、

「じ、ジョー!!」

 努めて元気に振る舞う。

「あっ、あのね!私、オストワルの街をもっと知りたいの!
今まで忙しくて、ほとんど治療院と家の往復だったから」

 ジョーは私の体をそっと離し、熱っぽい瞳で私を見る。そして、甘い声で告げた。

「俺はこの家で、一日中いちゃいちゃして過ごしてもいい。
 だが、アンがそう言うならそうしよう」

 ホッとしつつも、ジョーがまたとんでもないことを言ったことに気付いた。
 一日中いちゃいちゃして過ごすなんて……もしかしてジョーはあらゆることをすっ飛ばして、そのつもりで家にやって来たの!?

 真っ赤な顔の私を見て、ジョーは面白そうに笑う。

「冗談だ。街で、必要なものは全て買ってやる」

 いや、冗談には聞こえないんだけど……私は真っ赤な顔で頷いた。


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