追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
こうやって、お兄様との再会に胸を打たれていると……
「何をしている!!?」
不意に大好きな声が聞こえた。その声を聞くと、胸がきゅんと甘い音を立てる。
私はお兄様に抱きしめられたまま、顔を上げた。すると、目の前には頬を染めてこっちを睨んでいるジョーの姿が見える。それにしても、ジョーはすごく怒っている。めらめらと怒りの炎が見えるほどに。
「あっ、あのね、ジョー!」
私はお兄様に抱きしめられたまま、慌ててジョーに告げた。
「ヘンリーお兄様が来てくださったの!ジョーが呼んでくれたんでしょ?」
「お兄様……!?」
ジョーははっと我に返ったように私たちを見た。
「そうか……ヘンリー様は、わざわざこの地まで来てくださったのか……」