追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
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「えーッ!?それならアンは、かの有名なジョセフ様と友達なの!?」
お兄様は前に座るジョーを見て、興奮している。だから私は、
「ジョーってそんなに有名なの?」
思わずジョーに聞いていた。私の問いに、案の定ジョーは
「知らない」
と答える。
ジョーは自分が強いことを自慢したり見せびらかすタイプではないことは、重々承知だ。仮に私がジョーだったら、自分はすごいと周りの人に言って回るかもしれないのに。
お兄様は目を輝かせてジョーを見ている。
「ジョセフ様は、三人の名将の本にも載ってるよね!
王宮近衛隊隊長と、王都第一騎士団長と、オストワル辺境伯領騎士団長ジョセフ•グランヴォル様。
僕、ジョセフ様から手紙が届いた時、ドキドキして手が震えたよ」
「そ……そうなんですね……」
かろうじてそう答えながらも、ジョーが予想以上に有名で、戸惑いを隠せない。
私はヘンリーお兄様の妹だから、どうやら貴族出身だということは分かった。だが、国内でも三本の指に入る……いや、国内最強とも言われるジョーが相手だから、私とは釣り合わないとますます思う。
遠く離れた場所に住んでいるヘンリーお兄様が憧れるような人だから。
「ジョセフ様、アンの件は本当にありがとうございました。
僕はアンが王宮を追放されたという噂を聞いて、不安で仕方がなかった。僕の争いに、アンまで巻き込んでしまったのではないかと思って。
アンの捜索をかけても、僕には見つけることが出来なかったから……」
「お兄様の……争い?」
思わず聞いていた。