吸血鬼の彼女(仮)
《キュッ、ジャーッ》

「うぅ…傷に水が沁みる…。」

傷って水で洗うと痛いんだよね…。
血も結構出てるし。

……後ろに誰かいる?

「傷、見せて。」

「や、夜霧くんっ…!?」

い、いつの間に…!?

しかもなんか、夜霧くんの水色の瞳が揺らいでる、ような、ぼうっとしてるような…。

《ペロッ》

「ふぇ?」

傷口に何かが触れた。

「……な、にこれ。不思議な味。美味い…。」

「…っ、?!///、えっまって…っ!」

血、舐めてる…?!どーゆこと?!

「……はっ…!…悪い、取り乱した。……甘い、匂いが、したから…。」

夜霧くんの瞳、なんか一瞬宝石みたく光らなかった!?

なんか驚いた顔してるし……。汗だく…?

本当に驚いたの私なんだけどっ!

……夜霧くんがこんなに動揺するの珍しい、よね。
大丈夫、なの?

「えっと…大丈夫…!?」

「っ。近寄るな…!今、空咲の血の匂いを嗅ぐと空咲が危ない…。」

「ふぇっ、ごめんっ。」

顔色悪くて、ふらついてる…。
もしかして貧血なのかな…?!

そーいえば今日はお弁当だけだったし…。

「ねぇ。もしかしてだけど…貧血…?」

「………。そうだけど。」

「わ、私の血ならあります……けど……っ。」

クラスメイトが困ってたら何とかして助けたい…!
例え、男の子でも。

「…話聞いてなかったのか?!危険なんだ。加減が効かなくなるかもしれない。そうなったら………」

「っ。じゃ、じゃあ傷口から……とか…?いや、でも膝なんて…っ。」

「……あぁ〜、もう無理。我慢の限界。本当に悪い。血、貰う。」

「は、はひぃっ。」

自分から言っといてなんだけど、いざやられるとなると怖い、恥ずかしいっ。

せめて目をつぶっておこう。

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