彼女に好きな人が出来ませんように
なつみとお祭りに行けることになってから、私は浮かれている。


夏休みまであと3週間。


楽しみすぎて、どうにかなりそう。


初めての気持ちばっかり。


あと3週間、気持ち持つかな。


そうやって浮かれていた私は、甘かった


そう、なつみは誰がどう見てもかわいい女の子。


真っ直ぐで、素直で、優しい女の子。


そりゃ、そうだよね。


教室の後ろで、なつみとクラスの男子が話している。


「なつみちゃん、あの…もしよかったら、夏休みのお祭り、一緒に行かない?」


「えっと…ありがとう遠藤君!私…」


やだ


聞きたくない


気付いたら、私は教室を飛び出していた。







勢いでトイレに駆け込む。


最悪だ…


そうだよ、そんな簡単にいくはずない。


なつみのことを男子が放っておくはずない。


遠藤君って、確かモテるんだよな。


よく女子にかっこいいって騒がれているような。


OKしたのかな。


なつみだって私以外の子とも遊んでみたりしたいはず。


浮かれていた私が馬鹿だった。


でも、なつみ優しいから


きっと私のことも考えて、躊躇してるかも。


私は、なつみに…




気持ちを落ち着かせて教室へ戻る。


「あっみっちゃん!急に飛び出してったからびっくりしたよ〜」


なつみ…


「あのさ、夏休みのお祭り、やっぱりやめようか…」


「えっなんで?!」


「だって、私以外とも行きたいかなって…」



「ああ、さっきの遠藤君なら断ったよ!!」


え…?


「なんで…?」


そう言うと、なつみはとびっきりの笑顔でこう言った。


「だって私、みっちゃんと行きたいもん!」

「みっちゃんと行くのめっちゃめちゃ楽しみにしてたんだよ!」


なつみ…


「嬉しい…

私も、なつみと行きたい!」


私と行きたいって、思ってくれてたんだ。


嬉しい。




好き。




好きっていう気持ちが溢れてくる。




不思議なくらいに。
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