彼女に好きな人が出来ませんように
ー帰りのホームルームが終わり、私は帰る準備をしていた。


帰ろうと思い席を立つと、なつみちゃんが私を引き止めた。


「待ってみっちゃん!あの…よかったら途中まで一緒に帰らない…?」

「え…」

また、びっくりした。


普段1人で帰っているから、そういうのに慣れていなかった。


一緒に帰ろうって誘われただけで、こんなに嬉しいんだ。


知らなかった。

「もちろんだよ、なつみちゃん。誘ってくれて嬉しい」

「やった!帰ろ帰ろ!」

そう言ってニコっと笑った。


私も微笑み返した。

「そういえばみっちゃん、私のこと呼び捨てで呼んでいいよ!」

「呼び捨て…」

「うん、何か、呼び捨てで呼ばれた方が嬉しいなって思って!」

「…なつみ」

そう言うと彼女の顔はパッと明るくなった。

「ありがとうみっちゃん!」

彼女の内側から滲み出る明るさと元気さ。


まだ、今日初めて会ったばかりなのに。


彼女のことを昔から知っているような感じがした。
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