ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
ささいな日常のささいな会話でさえ、僕がどれだけ幸せを感じているのか。まいさんは、解っているのかな?

「僕、まいさんのオムレツ具沢山で好きだな。オイスターソース、使ってるよね?」

汚れた調理器具を洗うまいさんを囲うように、流し台の縁に両手を置き、後ろからのぞきこむ。

「使ってるわよ。ほら、邪魔してないで先に食べなさいよ」
「えー? 今日はバス一本乗り遅れたから、まいさんとの時間、一時間も損してるんだよ? 少しでも取り戻させてよ」

そのまま、まいさんを背中から抱きしめる。

甘酸っぱい香りを深く呼吸しながら首筋にキスをして、やわらかなふくらみに手を伸ばした───ところで、手の甲を泡だらけの指につねられた。

「いたっ。ちょっとくらい、いいでしょう? まいさんに触らせてよ。じゃないと僕、『まいさん欠乏症』で死んじゃうよー」
「あんたが死にそうなのは、お腹が減っているせいよ。早く食べないと、冷めちゃうじゃないの」

あきれたように僕を斜めに見上げてくるまいさんに、負けじと言い返す。

「じゃあ、せめてチューだけでもさせてよ。そしたらあきらめて、ご飯食べるから」
「……嫌よ。あんたのキスってヤラシすぎて、それだけで終わんないじゃない」

僕を上目遣いに見て唇をとがらせるまいさんに、くすっと笑ってみせた。
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