ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「いやだなぁ、まいさん。終わらせてくれないのは、まいさんのほうなのに? それに」

言いながら、僕を求めるように突き出された小さなふっくらとした唇に、指を()わせた。

「その瞳もこの唇も、僕より、まいさんのほうがいやらしいって、どうして解らないのかなぁ……?」

頬を傾けて顔を近づけると、まいさんが観念したように目を伏せる。
困ったような恥ずかしそうな表情が、僕の衝動を(あお)る。

……ほら。やっぱり、まいさんのほうがいやらしいじゃないか。

やわらかな唇を感じながら、流し台にまいさんを押しつけるように、身体を密着させる。

蛇口から流れたままの水を止め、さらに奥深くまで侵入して、まいさんを捕えようとした時。

固定電話が、鳴った。
着信メロディからしてお父さんからなのが解った。

まいさんの小さな手が僕の胸を押しやろうとする。

強引に続行するのは簡単だったけど、相手がお父さんじゃ仕方ないかな?

「───父さん? どうしたの?」

僕の束縛から逃れたまいさんは赤い顔のまま受話器を取り上げ、かすれた声で電話に出る。

「え? ……あぁ、ご飯食べてて───大地? もうとっくに帰って来て一緒に食べてるけど。
───ああ、そう、分かった。……うん。じゃあね、お疲れさま」

受話器を置いたまいさんが、僕を振り返った。
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