ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
クリスマスは終わっても、今度はお年賀で使われるギフト販売が忙しいらしい。

いつもはまいさん一人で店番している時間帯に、多香子さんがいるほどに。

「あ、やば。はい! ただいま、参りまーすっ!
じゃ、閉店間際に来てくれれば、きちんと話すから。そのパス、なくさないでね!」

多香子さんはあわただしく店の奥に消えて行く。

あっけにとられつつも、僕は多香子さんの言葉におとなしく従うことにした。


*****


『物販店の営業は、午後8時までとなっております』

というアナウンスと共に流れる寂しげな音楽を聴きながら、僕は『シャル・エト』の店先をのぞいた。

「お名前こちらで、よろしいですか?」

と、デコレーションケーキにのったプレートをお客さんに見せている多香子さんがいた。
まいさんの姿は、見えなかった。

最後のお客さんを見送り、僕の存在に気づいた多香子さんが、ふたたび手招きをする。

「そこの扉から入ってきてくれるかな? あ、念のため、さっき渡したパス首から下げといてね」

言われた通りにして中に入ると、扉の向こうには、大きな冷蔵庫やステンレス製の作業台が置いてあった。

さらに奥のほうに目をやるとまいさんがいて、片隅のテーブルの上に広がっている書類らしき束をかき集めていた。

「うっわ、ホントに呼んだんだ、多香ちゃんってば!」
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