ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
だって、漫然と舞さんの帰り待ってるより、ここで働いて過ごす方が有意義じゃない? お金にもなるし」

いたずらっ子のような笑みを浮かべ、多香子さんはお札や小銭を数え、売上をレジに入力していく。

「あ、カレシくん───じゃなくて」
「進藤です。進藤大地」
「おっけ、大地クンねー。次、床のモップがけしてくれる? 用具置き場、あっち」
「はい」

うなずいて、製造室から売場にかけてモップをかける。
多香子さんは次々に、僕にでもできそうな雑用を言いつけてきた。

商品に布がけしたり、ゴミ捨てに行ったり。ケーキトングや製造用の調理器具の洗い物をしたり。

その間に多香子さんは、売上の集計表や商品の管理表など僕にはよく解らない作業をしながら、お店の事情を話してくれた。

オーナーの意向は男の従業員はいらない、販売には華のある女性だけでいいということらしい。

多香子さんは、

「イマドキなに言ってんのって感じでしょ? だけど、オーナーのいうことは絶対で従わざるをえないし。
大地クンは裏方だけって約束で、舞さんオーナーに話すと思うよ。
だから大地クン、これから一週間よろしくねー」

今日は12月27日だから───年明けの3日までってことだよね。

うん、確かに、猫の手も借りたいかも。

「こちらこそ、よろしくお願いします」
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