ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「これ、今日、舞さんが困った顔して『多香ちゃん旦那さんいるのにねー』って、私に持ってきたんだけど。

どう考えても、私じゃなくて、舞さん目当てで渡されたものなのよ」

いまいましそうに、多香子さんが片手で紙片を払うように叩く。

「舞さんのカレシくんに言うのは失礼だと思うけど。
舞さんって、ぱっと見は、とびきり美人ってわけでもムチャクチャ可愛いってわけでもないと思うの。

だけど、物腰は女性的でやわらかだし、話し方はすごく丁寧で聞きやすいし、きわめつけは笑顔がすっごく素敵でしょ?

ちなみに私、素敵ってこういう場合に使うんだーって、舞さんの笑顔初めて見た時に、感動したくらい。

で、そんな舞さんだから、ぶっちゃけ老若男女にモテるわけ。
ちっちゃい子からお年寄りまで、ストライクゾーン広すぎるっていうかなんていうか……。

まぁ正しくは、接客のプロってことなんだと思うんだけどね」

僕は、まいさんの接客姿を見るのが、日課のようなところもあるから───多香子さんの話には、素直にうなずけた。

先日も70代くらいの男性に、
「あんた美人だなぁ……」
って、見惚(みと)れられてたし。

いつだったかは中年女性に、
「さっきまですごい不愉快だったんだけど、あなたの笑顔見てたらそんな気分どこかにいっちゃったわ」
なんて、褒められてたし。

うん、すごく、分かりすぎるくらい、分かるかも。
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