ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「だから、カンチガイした男の客が来るのも、まぁムリもないんだけど。

『あの微笑みはオレだけに向けてくれてるんだ』
って思っちゃうような?

なにしろ、一人ひとりに対して心をこめて接客してるからね、舞さんって」

僕は目を泳がせた。
……うん、ここにも一人、いるからね……。

「で! 問題は、そこじゃなくてッ!」

ダンッ、と。多香子さんがテーブルを叩く。
僕をにらむように、見据えてくる。

「大地クン、ちゃんと言ったほうがいいよ、舞さんに!」
「……えっと、ごめんなさい。何を、ですか?」

多香子さんの話の流れは、どうも要領を得なかった。
まいさんに連絡先を渡すような男性客がいるのは、予想の範疇(はんちゅう)だし。

だからって「受け取るな」っていうのも、なんだか、違う気がするし。

それに、接客業に携わっている多香子さんなら『お客様』に下手な対応は取れないことも分かるはずで。
そういった忠告でもないと思えたからだ。

「もう、鈍いなぁっ! 舞さんに『可愛いね』とか『素敵だね』って、ちゃんと言ってあげてる?」
「……は?」

そっち? というより、話の流れから大きく()れているような気がするのは、僕の気のせいだろうか?
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