ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「毒されてるだなんて、ヒドイなぁ。これでもイロイロ我慢してるのに。
今日、多香子さんに注意されたばっかりだし」

「多香ちゃんが? あんたに? なんて?」

初耳だといわんばかりに、まいさんが僕のコートの腕をつかんで訊いてくる。

僕は多香子さんに言われたことを、そっくりそのまま、まいさんに伝えた。
聞き終えたまいさんが、耳まで赤くなる。

「ちょ……ちょっと、ヤダーッ! あんた達、職場でナニ話してんのよーっ。
ってか明日、多香ちゃんと、どんな顔して会えばいいのっ!?」

「いまのまま、普通の可愛いまいさんの顔で、会えばいいんじゃない?」

「そういうこと言ってんじゃないわよっ」

「あ、それと。多香子さんによると、僕の愛情表現がダメダメすぎて、まいさんが自分の魅力に気づいてないらしいってことだから。
僕は今まで以上に、まいさんに語る想いを勉強しなきゃいけないみたい」

「……これ以上あんたのアホ話を長くする必要が、いったいどこにあるっていうのよ?」

「ふふっ、そんなこと言って……ホントは楽しみにしてくれてるんでしょ?
朝も昼も夜も、まいさんがどれだけ素敵な女性かってこと、僕が手取り足取り教えて自覚させてあげるからね?」
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