ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「なによ、この屁理屈大魔王がっ。そんな言い訳に、私がだまされると思ったら大間違いなんだからね!」
……あれ。やっぱり、いまだにご機嫌ナナメなんだ、まいさん。
「本当に私が一番だっていうのなら、証拠をみせなさいよ、証拠を」
僕は苦笑いした。
これは……今夜ひと晩かけて、まいさんの曲がりに曲がったおへその位置を元に戻してあげなければ、いけないのかもしれない。
つかんだままのまいさんの指先を引き寄せて、今度は手の甲にキスをした。
「……では、何をもって(あかし)としましょうか? 『まいみ姫』?」
微笑んで尋ね返す僕に、まいさんは、してやったりと、いわんばかりの意地の悪い笑みを浮かべた。
……そんな小悪魔チックな微笑も僕を惑わすには十分で。
罠にかかったのが僕で、かけたのがまいさんなら、もうこのまま、好きなようにしてもらうしかない。
「じゃあ……後ろを向いて、ついでに、両手も後ろに回して」

*****

綺麗な指先がたどる、僕の身体のカタチ。上下に動く、濡れた可愛いらしい小さな唇。
薄い闇のなかで行なわれる淫靡(いんび)な光景は、どこかの男子高校生の妄想をのぞき見しているようで。
現実の出来事にしてはやけに都合の良すぎる展開は、それを許さないための拘束が、ナイロン製の手枷(てかせ)に象徴されていた。
「……ねっ、まい、さん……。あの……っ……部屋の鍵って、閉め……て、ない……よね……?」
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