ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「あの、サヤちゃんは僕にとって、前に住んでいた所のご近所さんで。たぶん幼なじみって言い方が、一番しっくりくると思うんだけど……。
あ、スーパータチバナ、知ってるよね? 県内に十数店舗あるし、市内にも三店舗あるくらいだから」
「……知ってるわよ、もちろん。そこのお嬢さんってことね。分かった」
この話題はこれでお終いといわんばかりに、まいさんは感情をこめない殺伐とした言い方をした。
……なんだか、お終いにできないような雰囲気だよ、まいさん?
付けっ放しのテレビからは、バラエティー特有の、観客の笑い声が響いてきてる。
まいさんの好きな、関西出身の男性アイドル二人組が司会の、歌とトークが主体の番組だった。
まいさんは笑いもせず、テレビ画面を見ていた。まいさんが特に好きな『彼』の絶妙な言い回しに、観客はわいているのに。
「まいさん、あの───」
「サヤちゃん、て。……ただの幼なじみって、わけじゃないんでしょ?」
「え?」
「言い方! あんたの、『サヤちゃん』の言い方が……なんか、特別っぽい感じがして……」
なんか、ヤだったの……、と、付け加えたまいさんの声は、頼りなげなささやきで。
マグカップをテーブルに戻して、まいさんは抱えたひざに顔を伏せた。
僕は、意識してサヤちゃんの名前を口にしたわけではないけど。
まいさんに、そういう『嫌な感じ』を与えてしまったのだとしたらすごく申し訳ない気がした。
あ、スーパータチバナ、知ってるよね? 県内に十数店舗あるし、市内にも三店舗あるくらいだから」
「……知ってるわよ、もちろん。そこのお嬢さんってことね。分かった」
この話題はこれでお終いといわんばかりに、まいさんは感情をこめない殺伐とした言い方をした。
……なんだか、お終いにできないような雰囲気だよ、まいさん?
付けっ放しのテレビからは、バラエティー特有の、観客の笑い声が響いてきてる。
まいさんの好きな、関西出身の男性アイドル二人組が司会の、歌とトークが主体の番組だった。
まいさんは笑いもせず、テレビ画面を見ていた。まいさんが特に好きな『彼』の絶妙な言い回しに、観客はわいているのに。
「まいさん、あの───」
「サヤちゃん、て。……ただの幼なじみって、わけじゃないんでしょ?」
「え?」
「言い方! あんたの、『サヤちゃん』の言い方が……なんか、特別っぽい感じがして……」
なんか、ヤだったの……、と、付け加えたまいさんの声は、頼りなげなささやきで。
マグカップをテーブルに戻して、まいさんは抱えたひざに顔を伏せた。
僕は、意識してサヤちゃんの名前を口にしたわけではないけど。
まいさんに、そういう『嫌な感じ』を与えてしまったのだとしたらすごく申し訳ない気がした。