ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
以前はまいさんに嫌われたって構わないと思っていた───正確にいえば「嫌われる覚悟で」いろんな行動を起こしていた。

だって「姉弟なら」たいがいのことは、次の日には「ゆるされる」ような気がしていたから。

血のつながりがあるということは僕にとって、
「相手に対しての許容範囲が無条件に広がる」
というもので。

だけど、いまの僕たちはまいさんの言葉を借りれば、
「ただの年の離れた男と女」
なわけだから。

僕は、まいさんと姉弟でないと解ったあの日からずっと、
「まいさんに嫌われないような」
ギリギリのラインを慎重に守りながら、まいさんに接していた。

けれども。

「───は?」

まいさんは思いきり顔をしかめて、僕を見上げてきた。

その表情はもう何度も見せてもらってきたものだけど、やっぱり、とてつもなく可愛いくて。

一瞬、ぎゅっと抱きしめたい衝動にかられたけど、あまりにも脈絡がなさすぎることに気づいて、僕は必死でそんな自分を抑えこんだ。

「バッカじゃないの!」

直後、まいさんの口からでてきたのは、そんな言葉だった。

僕は、まいさんの僕に対する「バカ」という呼びかけが、好きだった。

そう言われるたび「愛してる」って、遠回しに言われてる気がしたから。
透さんは、

「お前それ……幻聴だろ。つか、脳の構造ダイジョブかぁ? いったい、どんな翻訳機能がついてんだよ?」

なんて、あきれていたけど。
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