ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
「───……さて、と」
まいさんから、いたずらな微笑みが向けられる。
「まずは『イケナイ夢』の続きから、見る……?」
冗談まじりのささやきが、僕の唇に降りてきて。感じる吐息が、甘くせつなく、僕の舌を溶かしていく。
───もうこれが、夢でも、現実でも、構わない。側に、まいさんが、いてくれるのなら……。

*****

「はい、到着。
学生の本分は、勉学につとめることなんだからね! しっかり頑張ってきなさいよ」
僕の高校の裏門まで着けて、まいさんが車を停める。
……本当に、まいさんは僕のために、いろんな顔をもっていてくれて。
僕は、どれだけ感謝をしても、したりないくらいで。
どうやって返したら、まいさんの想いに、報えるんだろう?
───僕は、まいさんを想うことくらいしか、できないのに。
「……えっちな勉強はもうしたから今日はあと、真面目な勉強だけだね?」
ふふっと笑ってみせると、まいさんは心持ち赤くなりながら、僕をにらんだ。
「おかげで運転するのに、楽じゃないわよ。もうっ……私、朝からナニしてんだろ……」
ハンドルに腕を預けて、まいさんは遠い目をする。
僕は思わず、くすっと笑った。
「ひどいなぁ……朝は、まいさんからのお誘いだったのに。おかげで僕は、ものすごく良い気分で登校できるんだよ?
───じゃ、行ってきます」
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