ハーフ☆ブラザー その瞳もこの唇も、僕よりまいさんの方がいやらしいのに?
まいさんの「バカ」には、いろんな愛情のカタチが含まれているんだってこと。

その表情が、そのしぐさが、その抑揚が、すべてを如実に語ってくれてるんだってこと。

いくら説明しても、透さんには解ってもらえないようだった。

「迷惑なら迷惑だって、とっくに言ってるわよ。あんたに対して、なんでそんなつまんない遠慮しなきゃなんないのよ」

まいさんの答えはいつも明快で、僕を安心させる。

血のつながりがなくても、こんなにも僕という存在を受け入れていると、証明してくれるんだ。

「ってかね~」

意識の半分以上が『幸せ実感中』だったせいで、まいさんのしかめっ面が微妙に変化して、ふてくされたように視線をそらしたのに、ワンテンポずれて気づく。

「必要ないって言われても来るからね? とか、最初に言いやがったのはあんたじゃないのよ。何よ、いまさら。
あんたが一緒に帰ってくれてるから、こんなに遅い時間まで安心して仕事こなせるんじゃないのよ、ばか」

「……うん」

僕は、まいさんに笑ってみせた。
……ああ、どうしよう? まいさん可愛いすぎる……。

とりあえず、今日のところは自分の欲望に忠実に、この可愛いらしい女性(ひと)を腕のなかに閉じこめておく。

……うん、大丈夫。
きっといまの僕の行動は、まいさんの「許容範囲」のはずだから───。



 
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