ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
尻尾が生えました!
 働く子猫の朝は早い。
 だが、子猫の保護者の朝はもっと早い。

 スカイヴェン国の王都警備隊長を務めるルディは、ただの狼の獣人ではなく妖精獣フェンリルである。
 しかも、きめ細やかな愛情でもって完璧な子守りができるフェンリルなのだ。
 夜になると、彼は保護している子猫の寝かしつけを全力で行う。とびきりモッフモフな自慢の尻尾で幼いエリナをよく包み、風邪をひかせないように細心の注意をはらいながら寝かせるのがフェンリルの大切な仕事なのだ。

 エリナは訳ありの子猫であるため、見た目よりもしっかりしているので寝相も良い方なのだが……。
 ある朝彼は鼻及びその周り(いわゆるマズル)に柔らかな感触を覚えて目を覚ました。

『む? この心温まる感触はなんだ?』

 目を開けた彼は、ふみ、ふみ、ふみ、ふみ、と繰り返される鼻先への刺激の原因を知ると、動くことも話すこともできずに困っていた。

『くうううっ、可愛すぎるぞ!』

 彼のマズルは、小さな前脚のピンク色をした肉球でふみふみされているのだ。フェンリルは朝から特大のご褒美をもらった気分になった。
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