ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「中だけ柔らかい状態はダメなんだね?」

「はい、柔らかな生地だけが膨らむと困るんです。星型の口金で絞れば中も外もすぐに火が通るから、ダメな状態にならないんですよ」

 この世界では、理科の授業がない。そのため、固体、液体、気体の体積の変化だとか圧力だとかの知識が普及していないのだ。
 ミメットとリックルは『ついていけない』という悲しい瞳でエリナを見た。

 ちなみにコレットは「難しいことはどーでもいいのですぅ、美味しく味わうのですぅ」と、理解する気がまったくないようだ。ドリュアドは感覚派らしい。

「とにかく、この形に作るのが大切ってことにゃんよ!」

 エリナも、さほど理科が得意だったわけではないので、話を終わらせて全力でチュロスを楽しむ方に取りかかった。

『まさか、日本で学んできたことをこの世界に伝えることは、守護妖精のお仕事じゃないよね? 本気でやろうとしたらいくら時間があっても足りないから、料理のレシピの紹介だけにさせてもらいたいにゃん』

 でも「小さな爆発が起きることでチュロスは膨らむのかな? 水が膨らむってどういうことだろう?」と一生懸命に理解しようするジャンの姿を見て、彼にだけは理科の基礎知識を教えてもいいかなと思うエリナであった。
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