ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります！〜６

「おはよう、今朝もよろしく頼む」

　今度は大柄な男性が入ってきた。頭には黒くて丸い耳があるが、可愛らしい雰囲気とは言いがたい……むしろ、威圧感、存在感、そして圧倒的な迫力が身体から溢れ出ている。彼の背後には気の弱い者は目を合わすことすら困難になるような強者のオーラが渦巻いていた。

　そう、彼は熊の獣人、王都警備隊一の『見た目が恐ろしい隊員』と呼ばれるアルデルンだ。

「アルデルンさん、おはようございます」

　エリナを見た彼はカッと目を見開き、唸り声をあげた。

『喰われる？』と危機感を感じ、ルディはエリナを素早く自分の後ろに隠し、それから何事もなかったかのように元に戻した。
　熊のアルデルンは気の優しい警備隊員で、子猫を襲って食べたりしない人物なのだ。

「エリナ……おお、なんと！　なんて可愛らしい尻尾なのだ、真っ白な耳とお揃いの真っ白な尻尾を持つ天使か？　子猫の姿をした天使なのか？」

　恐ろしげな熊さんは、子猫にデレデレであった。

「ありがとうございます、今朝、生えたんです」

「そうかそうか、よかったな。おめでとう」

　尻尾を祝福する熊の笑顔は、獲物を丸呑みにする喜びに満ちたような獰猛なものだったので、皆は「朝からその顔はよせ！」と声を揃えて突っ込んだ。