ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「おはよう、みんな……あっ、猫の尻尾!」

 入って来るなり素早くエリナの背後に駆け寄り、白い尻尾を鋭い視線で見つめるのは、虎のキーガスであった。彼は同じ猫科ということで、エリナに関することに強い関心を抱いているのだ。

「おはようございます、キーガスさん。わたしの尻尾はどうですか?」

「さすがは猫科の尻尾……うん、どこから見ても素晴らしいものだ。エリナ、最高に素敵な尻尾を得ることができたんだな、おめでとう!」

 鍛え上げられた筋肉質な身体に、優しくてシャイなハートを持つ虎の青年は、自分の虎尻尾をエリナの猫尻尾に並べて「やっぱり猫科の尻尾はいい。尻尾がない猫ももちろん素晴らしい存在だが、尻尾のある猫もいいものだ」としみじみと言った。猫への肯定感に満ちた、ブレない虎である。

「そうですね、わたしもそう思います」

 しましまの虎尻尾の動きを目で追いながら、エリナは頷いた。

「おい、キーガス。レディの尻尾をそんなに見つめるものではないぞ」

 狼隊長は、猫科の絆の間に割り込んで言った。別に焼きもちを焼いているわけではない。いくら親しき仲でも、エリナは淑女の子猫なのだから釘を刺したのだ……ということにしておこう。

「隊長、下心はありません。エリナの尻尾は猫科の尻尾、ならば猫科のわたしが守らなければならないものなのですから!」

「猫科以外の尻尾も平等に守れ! それが我々警備隊の仕事だ!」

「はっ、了解であります!」

 キリッとした顔でキーガスは敬礼をした。
 エリナは『あれ? 警備隊って、モフモフ尻尾を守るお仕事だったっけ?』と不思議に思ったが、ルディ隊長が(エリナ可愛さに)ちょっとずれた発言をするのはいつものことなので『まあ、そういうこともあるんだね』と華麗にスルーしたのであった。
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