ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「祖父殿、踊りますか? 足腰に支障がなければ、ですが」

 ルディが声をかけると、ギルバート前国王は「失敬な! わしの足腰はまだまだ元気じゃ」とぶつぶつ言いながらも進み出た。

「みんなでダンス、楽しいにゃ! 今日は本当に素敵なパーティーになって嬉しいにゃ!」

「おお、エリナよ、踊る姿も可愛いのう」

 踊りながら子猫がやってきたので、ギルバートの顔が笑み崩れた。

「ギルおじいちゃんと踊ってくれるのかな?」

「いや、俺と踊りに来たんだよな?」

「わしじゃ!」

「俺だ!」

 祖父と孫は、おとなげない言い争いを始めてしまった。しかし、そこに女神が割って入る。

「子猫ちゃん、こちらにいらっしゃいな」

「うにゃん」

 サランティーナ王妃が子猫をさらって、フーラアヌの方に連れて行ってしまったので、ふたりは「ああ……」と悲しげに見送った。

「仕方ない。カルディフェンよ、おじいちゃんと踊ろうか」

「……おじいちゃんと孫らしいことを、最近してませんでしたね」

 なんとなくしみじみとしながらも、『こういうものもいいものだな』とふたりはステップを踏んでいた。

 子ども向きの簡単な踊りだったからこそ、皆の心は童心に帰って純粋に楽しむことができた。
 どんどん踊りの輪が大きくなり、最後に「んもう、僕は幹事だけどこのダンスは逃せないよ! あははははは、皆の者よ、華麗なるうさぎのステップを見るがいいさ!」と陽気なジャンも加わって、王宮の庭園では、花に囲まれた楽しいダンスパーティーがいつまでも続くのであった。
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