ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「いいえ、今夜はお食事をいただきに参ったのではございませんの」

 見るからに高級そうな服や靴を身につけた少女の後ろには、侍女らしい女性と護衛の男性が控えていたので、ミメットはひと目でこの少女が貴族のお嬢さんであることがわかっていた。

『店のお客さんじゃなさそうだ。やっかいごとじゃなければいいんだけど……』

「ちなみに、こちらのカレーライスと親子丼定食がわたしのお気に入りでございますわ」

「ありゃ、お客さんだったのか」

「次点は生姜焼き定食とハンバーグ定食なのですが天津チャーハンや麻婆丼も捨てがたく、結局はどれもわたしの好物でございますのよ」

「ガチのお得意さんだった!」

「いつも美味しいお食事を出してくださって、感謝の念にたえませんわ。で、次のカレーライスの日はいつでございましょうか?」

「……えっと、もしかするとそれが用事なのかい?」

 狐の少女は「はっ、わたしとしたことが! いいえ、違いますの」と顔を赤くした。ミメットは『ものすごく綺麗なお嬢さんなのに、少し残念系みたいだね』と思った。

「実は、こちらの料理人でいらっしゃる、高名なエリナ様にお願いしたいことがございまして……突然の訪問で大変不躾でございますが、少々お時間を頂けましたら幸いでございますわ」
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