ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
彼はむふんとなりそうになるのを堪えた。巨大なフェンリルの鼻息でまだ夢の中にいる子猫を転がしてしまってはならない。なにしろ相手は大人の手のひらに余裕で乗れるくらいに小さいのだ。

『エリナよ、あまりにも寝相が元気過ぎて俺の鼻先まで転がってきたのか……困った子猫だな』

 困ると思っている割に、その目尻は思いきり下がっていた。
 夢の中にいながら巨大なフェンリルのマズルをリズミカルに押している、無邪気な子猫の姿を見たら、モフモフ好きなら『天国! 尊い! この世に天使が存在したのだ!』と叫んでしまうだろう。それほど愛らしい白い子猫なのだ。

「……おっといかん、また眠りそうになった」

 ピンク色をした小さな肉球の感触に癒されて、そのまま二度寝してしまいそうなフェンリルは必死で誘惑に抗う。
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