ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「これは美味しいな!」

「うん、美味い」

 隊員たちは笑顔でチリドッグを食べる。

「この辛いソースにはひき肉が入っているんだな。トマトの爽やかさと肉の旨みと、それを引き締める辛み。肉汁が溢れるソーセージの存在感に負けない素晴らしいソースだ」

 食べ進みながらもしっかりと味の分析をするのは、しっかり者の熊のアルデルンだ。彼はこんな見た目だが貴族の一員なので、なかなかの食通であった。ちなみに彼の父親もとても獰猛な熊顔をしている。

「加えられたスパイスがいい仕事をしているのがこの料理の魅力だ。カレーもそうだが、エリナは辛さへの理解が深いな。まだ幼い子猫なのに辛いものが平気とは、さすがは料理の才能に恵まれているだけのことはある」

感心する熊に、狐も同意した。

「うん、辛くて美味しいものがわかる子猫ちゃんだね。そんなエリナは甘い恋に浮かれたりしなさそうだと……」

 軽口を叩く狐のサファンは、冷気のようなものを感じて背中をぞくりとさせた。

「エリナが、なんだ?」

 お父さん狼として、『恋』などという単語を幼いエリナにくっつけることは許せないのだ。

 牙を剥き出す狼隊長に、サファンは「いやいや、なんでもなーいですよー、エリナはちっちゃくて可愛い子猫ちゃん、大人になる日はまだまだ遠くの遠く、遥か先ですしー」とそっぽを向きながら答えて、ついでに軽く一曲口笛を吹いてごまかした。
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