ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
 うさぎのジャンが報告のために王宮に向かったので、ルディも職場に行くことにした。

「母上たちとの打ち合わせには俺も同席するからな、ひとりで行ってはならないぞ。エリナも、『尻尾祝いパレードで王都をひと回り』なんて企画に駆り出されるのは嫌だろう?」

「うにゃっ! 丁重にお断り申し上げたいにゃん!」

 子猫は震えあがった。

「俺も、ちょっと広い部屋でパーティーするくらいにとどめたいと思う」

「あたしもそう思うね」

 姉貴分のミメットが言った。

「エリナの本当の姿をしばらく隠しておくなら、『青弓亭の料理人』という身の程に合った振る舞いをしていた方がいい。まあ、王家に気に入られていて、王宮の料理人にも指導しているエリナだから、王宮で可愛らしいパーティーを開くくらいのことはいいと思うけどさ」

「ミメット姉さん、わたしの身の程が『王宮で可愛らしいパーティーを開く』なんてことにふさわしいのかと考えると、自信がないんですけど……」

「うん、大丈夫さ。はっきり言わせてもらうと、エリナはこの国にとんでもない貸しがある。優しい子猫だからなんとも思っていないなろうけど、借りっぱなしでいるってのは精神的に良くないからね。だから、少し返してもらうのが相手のためでもあるよ」

「ええっ、そんな!」
 
 エリナが動揺して尻尾をぴこぴこ振ると、キジトラ猫は「エリナに甘えてもらうことは、逆にとんでもないご褒美になっちまうとは思うけどね」と言って笑った。
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