ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「王家の馬車を一台、呼んでおくれ。コレットを……そうだね、宰相のところに連れて行くんだ」

「すぐに手配します」

 ジャンは姿を消した。

「いいかい、コレットは今の話を宰相にして苗木を渡すんだよ。きっと上手いこと処理してくれるからね」

「黒豹のヴォラットさんのお父さんですね。わかりました」

「まさか、この国に世界樹を植えちまおうなんて……マーレン国の守護妖精は、えらいことを思いつくもんだね」

 エリナは『姉さんは、何を慌てているのかな?』と不思議そうに見ていたが、マーレン国の森の奥深くで見た世界樹を思い出すと『あのやたらに光ってる、いかにも特別な雰囲気の木が、この国に生える……うん、それは目立つかもね』と考えた。

「やれやれ、ふたりともピンと来ていないようだけど、世界樹ってのはとんでもない木なんだ。苗木を巡って戦争が起きてもおかしくないものなんだよ」

「せ、戦争が!?」

 エリナとコレットは飛び上がった。

「守護妖精が飛んでくる道になるってことからもわかるだろう? 時間や空間を結びつける力がある特別な木だし、この世界が生まれた時、一番最初に現れたのが世界樹だとも言われている。とても力のある木なのさ」

「ミメット姉さん、なんで詳しいんですか?」

「冒険者時代に、『世界樹の葉を求む』という依頼が出ていたのを見たから、調べたのさ。葉っぱ一枚にすらものすごい大金が支払われていたよ」

 ミメットの話を聞いたコレットは「ひゃあ!」と言いながら自分の頭を押さえたのであった。
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