ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
 フェンリルは高度を落として、トンネルの入り口に着地した。このトンネルはスカイヴェン国とフィフィール国の国境になるわけだが、ふたつの国はとても仲が良いため特に関所は設けられない。地球では考えられないことなのだが、この世界は国と国との諍いが驚くほど少ないのだ。助け合い精神が基本だからなのかもしれない。

 トンネルができたため、人通りが多くなることを見越した商売を始めようとする者がいて、店になる建物がいくつか作られていた。国営の休憩所もほぼ完成している。

「カルディフェン第一王子殿下、いらっしゃいませ」

 トンネル管理の責任者らしい男性が、彼らを出迎えた。

「お疲れではないですか?」

「いや、大丈夫だ」

 全力で走れば空をマッハのスピードで駆けられるフェンリルなので、これくらいは軽いジョギングをしたくらいの感覚なのだ。
 そして、エリナに至っては、道中はずっと気持ちよくお昼寝をしていたので、むしろ疲れが取れている。

「だいじょぶ、ですにゃん……」

 疲れてはいないが、子猫は少しぼんやりしていた。

「うちの子猫に飲み物を飲ませたいくらいかな」

 寝起きの子猫を気遣うルディは、どこから見ても子育て中のお父さんであった。
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