ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
 一同はフィフィール国の王宮に移動した。
 
 エリナは「正式な訪問の挨拶をしないといけないかにゃん」と気にしたが、イーシーに「エリナ様の料理をお分けすることで、立派な挨拶になりますよ」と言われたので甘えることにした。

 旅の荷物の中にはエリナのエプロンもちゃんと入っていたので、リボンを後ろで結ぶと子猫の料理人は居並ぶ人々に言った。

「それでは、先に炊き込みご飯の準備をします」

「はい!」

 青弓亭のものによく似た厨房で声を揃えたのは、ルールーとフィフィール国の王宮に務める料理人たちだ。

 エリナは大きなホッキ貝を手に取ると、器用にナイフを使ってこじ開けて殻から身を外した。

「こんな感じで」

 料理人たちも、慣れた手つきで貝の身を外していく。

「そうしたら、内臓を取り除いて塩水で洗い、身とヒモを食べやすい大きさに切って……これをお鍋に入れて、さっと火を通します」

 水に醤油、酒、砂糖と千切りの生姜を入れて煮立てたものにホッキ貝を入れて、綺麗なピンク色になるまで火を通す。

「生で美味しく食べられる新鮮な貝なので、火の通し過ぎに充分注意します」

 そして貝と煮汁を分け、研いだ米に煮汁を合わせて水加減をして火にかけた。

「ご飯が炊きあがったら、貝を混ぜます。海産物の料理は火加減が大事ですよね。こうして仕上げの段階で加えることで、柔らかくて美味しい貝が食べられるんです」

 料理人たちは『海のない国で暮らす子猫なのに、海産物の扱いをよく知っているなんて、これが天才というものなのか? いや、もしかすると猫の本能なのかもしれない』と思いながら、楽しそうに料理をするエリナを見守った。

 
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