ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「それじゃあ、パーティーでお会いしましょうにゃん」

 白耳の子猫は、フェンリルに跨って見送る人々に手を振った。ルディの身体に付けられたバッグにはたくさんの海産物が入っている。傷まないようにと氷の魔石で冷やされているのでエリナは寒くならないかと心配したが、彼のモッフモフの毛皮は冷たさをまったく通さなかった。

「気をつけて帰るのじゃぞ」

 大好きな子猫の可愛さを堪能したフーラアヌだったが「本当はお泊まりもして欲しかったのじゃ」と少し寂しそうだ。だがエリナがしっかり者の働く猫だとわかっているので、再会を楽しみにしてなんとか我慢する。

「うちで売っている干物もいろいろ入れてあるから、よかったら感想を聞かせてね。気に入って青弓亭で出してもらえたら嬉しいわ。大サービスするわよ」

「干物定食の日もあったらいいと思っていたにゃん。猫族にとっては、干物を焼く匂いはたまらないにゃんよね」

「そうね、虎のキーガスさんや黒豹のヴォラットさんの好物になるかもしれないわ」

「ふたりにも感想を聞いてみるにゃんね。ガミークさんたちに頼んで青弓亭に魚焼き器を導入して、干物を二種類に大根おろしを添えた定食を……」

「もちろん、大盛りごはんね。女の子だって大盛りで行けちゃうわ」

 仕事熱心なふたりのお嬢さんたちの話は尽きないが、「それ以上話されると腹が鳴ってしまうのだが」と悲しげにくんくん鳴くルディに免じて、ふたりはさよならを交わした。

 こうして、たくさんのお土産を持ち帰ってトンネルの試走と調査が終了した。
 王宮の料理人にお願いされたエリナは、青弓亭をコレットに頼んでもう一日お休みをもらい、翌日に数々の魚介料理を王宮の厨房で披露したのであった。
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