ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「じゃーん!」

 軽やかなステップでキッチンに現れたエリナを見て、ルディは顔を綻ばせながら「おやおや、今朝はずいぶんご機嫌だな」と言ってミルクをテーブルに置いた。

 ルディはこの国の王都警備隊長であると共に第一王子であるので、いいお屋敷に住んでいる。ここには大きなキッチンもある。だが彼は料理人を雇っていないし、本格的な料理はしないので、小さなセカンドキッチンの方に使いやすいテーブルと椅子を置いて、居心地の良い空間を作っている。
 ちなみに、セカンドキッチンは主にエリナのおやつタイムに使われている。

「ルディさん、これを見てくださいな」

 子猫はくるりと回ってスカートを鮮やかに翻してから、背中を見せた。

「どうし……おお!」

 真面目で厳格な警備隊長は驚きの声をあげた。

「尻尾だ! とうとう尻尾が生えたんだな!」

 彼は得意げに尻尾を見せるエリナに向けて惜しみない拍手を送った。
 さらに「おめでとう、エリナ! とても素晴らしい尻尾だな! しなやかで艶があって、こんなにいい感じの猫尻尾はなかなかないぞ。うむ、これはめでたい、よくがんばったな、エリナ」と絶賛した。

 全力で褒められたエリナは『わたしは別にがんばってはいないんだけど……ま、いいかな?』と照れながら笑顔になった。

「えへへ、おかげさまで猫獣人らしくなりました。ありがとうございます。実は自分でも、なかなかいい感じの尻尾が生えたなって思ったんです」

 照れ隠しに頭をかくエリナの仕草が、年相応に無邪気な子猫のものだったので、ルディは嬉しく思った。彼女が心を許しているのが伝わってきたからだ。
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