ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
犬のおばあさん
 エリナはいつものように、開店前の青弓亭の前を箒で掃除していた。
 スカイヴェン国とフィフィール国を繋ぐトンネルは試験走行が始まっていて、冷凍冷蔵馬車が王宮へと物資を運んで来ている。そこから青弓亭にも魚介が譲り分けられていて、試作も進んでいた。

 特別扱いのようだが、新しいレシピを次々と(見返りなしで)提供するエリナに材料を提供することも、青弓亭で新作を発表してもらうことも、この国の食文化を豊かにすることなので、当然ながら誰も文句を言わないどころか『特別扱い、大歓迎! どんどんやって!』という状態なのである。

「今夜はお試しメニューでお魚の日だにゃ。干物も煮付けも美味しいからたくさんの人に味わってほしいにゃん……骨ごと食べないように注意が必要かな?」

 スカイヴェン国では箸が普及していないので、フォークとスプーンで和食を食べるのだ。

「歯の丈夫な獣人なら軟骨さえも噛んで美味しく食べちゃうけど、お年寄りや小さな子の喉に引っかかったら大変にゃん」

 ちなみにエリナは小さくても立派な猫なので、顎も歯もとても丈夫だ。最近のおやつのお楽しみは、炙ったイワシの丸干しを頭から丸かじりだったりする。
 
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