ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
「これは、尻尾祝いをしなければならないな」

「尻尾祝い? そういう習慣があるんですか?」

 席についてミルクを飲み、干した果物がたっぷり入ったクッキーをかじりながらエリナは尋ねたが、「今俺が考えた」というルディの答えを聞いて、椅子から落ちそうになった。

「あとから尻尾が生えた獣人の話は聞いたことがないからな。これは特別におめでたいことだと思ったのだが」

「ルディさんったら」

「だが、うちのエリナにこんなにも立派な尻尾が生えたんだぞ? エリナだって待ちかねていたのだろう? お祝いに、なんなら王宮でパーティを開いてもいいくらいだと思うぞ。そうだ、尻尾パーティを開催するように、母上に連絡を……」

「いやいやいやいや! やめてくださいね!」

 エリナは慌ててルディを止めた。子猫をたいそう可愛がるルディが冗談を言っているわけではないとわかったからだ。そして、可愛がりが過ぎるのは、彼だけではない。

「ほら、わたしたちはお互いに責任あるお仕事に就いているじゃないですか! そちらを優先しなくちゃ、ですよ。わたしの尻尾に構っている場合ではありません」

 だが、ルディが『なにを言っているんだ?』という表情でエリナを見たので、彼女は『あ、尻尾が優先なんだね』とため息をついた。

「とにかく、そろそろ青弓亭に向かいましょう。今朝はホットドッグに特製ピリ辛チリソースをかけた、とっても美味しい朝ごはんを作るんですからね」

「特製ピリ辛チリソースを、だと? あの、すでに素晴らしく美味しいホットドッグが更なる高みに昇るというのか!」

 食いしん坊な味見隊長の気持ちがホットドッグに向けられたので、エリナは内心でほっとため息をついたのだった。
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