ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります！〜６

「エリナ、あのね……」

　ミメットは少し目をつぶってから、子猫に言った。

「通常の怪我だったら回復薬が効くんだけどね。薬では治らない身体の故障や不調もあるんだよ」

「ええっ？　回復薬が効かないんですか？」

　ミメットは表情を曇らせて、ゆっくりと説明した。

「エリナも知っているように、身体が丈夫な獣人も歳を取ると身体が弱って、若い頃のようには動けなくなるんだ。歯や顎も弱り、ごはんをあまり食べられなくなったりする」

「そんな……」

　エリナは『そういえばギルおじいちゃんも固いお肉が噛めなくなったんだにゃ』と思い出して、言葉を失った。

「充分にごはんが食べられないと、元気は出ないよね。おばあさんの脚も、歳を取ったせいで力が入らなくなり、身体を支えられなくなったんだろうね」

「……老化は、薬が効かない、んですね」

「どんな人も歩む道なんだよ」

　おばあさんがまた元気になると信じていた子猫は呆然として、しばらくその場に立ち尽くしたのだった。