ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜6
 部屋の隅に立って見守っていたルディが、立ち尽くすエリナの肩に手を置いた。

「ルディさん、わたし……」

「優しくて、親切な犬のご婦人だったな」

「……」

「青弓亭に何度も来てくれて、エリナの料理を美味しい美味しいと言って……食べてくれた」

「……いや、にゃ」

「エリナ」

「もうお店に来てくれないなんて、いやにゃ、まだまだたくさん、新しいお料理を、おばあさん……に……」

 エリナの目から、涙が溢れた。

「作るのに、これからもたくさん作るのに、うにゃあああああああああん!」

 パティも顔をくしゃくしゃにした。

「うわああああああああああん!」

 エリナとパティは固く抱き合って、大きな声で泣いた。
 おばあさんのことが大好きで、ずっとずっと一緒にいると信じていたのに、幼いふたりにとってあまりにも急な別れであった。

 女の子たちの胸には、丁寧に作られた花が咲いていた。来年の花祭りまでは生きられないと悟った犬のおばあさんが、可愛いふたりのために作った花だ。

 自分は天から見守ることしかできなくなる。けれど、パティとエリナをとても愛していることをわかって欲しくて、最後の命を燃やしてひと針ひと針心を込めて作った布の花は、子犬と子猫の愛らしさを引き立てて華やかに咲いていた。

 ふたりの女の子の悲しい泣き声が夜の町に響き渡り、近所の者たちは年老いた犬の女性が天に召されたことを知って目を閉じた。
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