ハリネズミ系男子!
可愛い一面

出入り口の端の方。

電車に揺られ、移りゆく景色をぼんやりと眺める。


あと少し。

このまま何もなければ今日も無事に登校できる。



プシューと音を立ててドアが開き、先頭にいたあたしはすぐに電車から降りた。




人混みに流れて歩くようにホームの階段を登り、人通りが少なくなったタイミング。



あたしを抜かすように通り過ぎた男の子が、なぜか目の前で立ち止まったんだ。


「あ、あの」

「……?」

「一目惚れしました!」


顔を真っ赤に染め、体格良さげなスポーツ系男子はまっすぐあたしを見つめる。


「……」


知らない制服に知らない人。

肩に掛けているカバンの紐をギュッと握りしめて、目の前の男子の足元に視線を持っていった。


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