好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜

彼女の寝室のドアを開けた執事は、部屋の中へと彼女を誘導し、俺の目の前で扉を閉めた。

――――どういうこと?
今日って、新婚初夜じゃなかったっけ?

別に初夜のどうのこうのを期待してるわけじゃない。
まだ十八歳だし、お見合い結婚だし。

だけど、もう少しくらい一緒にいたっていいのでは?

彼女はまだ未成年だから、飲酒しているわけじゃない。
時間だってまだ二十二時前なのに。

慣れないことの連続で緊張して疲れているのかもしれないが、リビングで少し会話するくらいはよさそうなものだ。

しかも、何、今の。

夫は俺なのに。
俺を排除するみたいに二人で顔を見合わせて部屋へと入って行った。

えっ……。
いや、まさかな。

新婦の介添え人って普通女性の人がするのが一般的なのに、彼女の介添え役は終始執事の二谷だった。

気心知れた人物なのは分かるし、生粋のお嬢様だから大事なのも分かる。
けれど、俺へと視線を送るよりも遥かに多く、二谷と顔を見合わせていた。

信頼してるんだなぁ、だなんて思ってたけど。
もしかしたら、全く違う次元なのでは……?

明後日から北海道に出張ということもあって、新婚旅行は落ち着いてからという話になっているが、時期がどうのこうのという問題ではない気がして来た。


二人の様子が気になってしまい、ドアをノックしようか悩みあぐねる。

オフショルダーのワンピース姿の彼女。
背中部分にファスナーがあるタイプだったが、まさかっ!
奴が脱がせたりしないよな……?

いやいや、問題はそんなことじゃない。

執事系の萌えゲーは、お嬢様の夜伽指南を執事がするのが王道だ。
結婚初夜を夫以外の男と?!
もしかして、既にお手付きなのか??
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