好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜

二谷の話によると、結婚して7年が経とうとしている俺らに子供が授かる気配すらないからと、婦人科での検査を受けるように言われたらしい。

初めて知った事実。
俺との間に子供をつくるようにと、この7年ずっと言われ続けて来たと言う。

恋愛結婚ではないから。
青年実業家という肩書だけしか求められてないと思ってた。

安易に触れることすら我慢していたのに。
どこにでもいる、普通の夫婦のようにしてよかったということか。

マジかよ。
ふざけんなよ。
俺の7年、返してくれ。

こっちは必死に理性を押し殺して、仙人男子になってたというのに。

「それと、もう一つお伝えしておくべきことがございます」
「……」
「婦人科で処方された薬は安定剤だけではございません」
「え?」
「女性ホルモンのお薬も処方されており、定期的な受診が必要とのことです」
「……」

頭部をハンマーでガンガン殴られた気分だ。
婦人科を受診するのだって勇気が要っただろうに。
その上で沢山の検査を受け、更に薬を服用しなければならないような診断が下ったという事実。

そんな大事なことすら知らずに、俺は仕事ばかりにかまけていて。
体を気遣いもせず、お酒に誘ってゲームをさせていただなんて。

つくづく自分が嫌になる。

「すみません。式典を抜けて来たので、一旦戻ります。終わったらすぐに来ますので、それまで彼女をお願いします」
「承知しました」

ベッドサイドに跪いていた士門がゆっくりと立ち上がった。
< 101 / 148 >

この作品をシェア

pagetop