好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
(士門視点)
「社長、専務、お疲れ様でした」
「お疲れさま」
式典を終え、機材の片付けをしている社員たち。
既に会場には来賓の姿はなく、ホテルスタッフと自社の社員だけ。
「春親」
「奥さんとこ、行きたいんだろ?」
「悪い」
「友香は戻って来ないと思うから、早く行ってやれ」
「サンキュ」
友香は自社サイトに殺到している問合せの対応で、会社にいる。
士門は式典会場に残るスタッフ達に声を掛けながら、その場を後にした。
*
二谷から預かったカードキーで部屋のドアを開ける。
まだ胡桃さんが寝ているかもしれないから、できるだけ静かに歩み進めて。
広々としたリビングに二谷の姿はない。
どこかに出ているのだろうか?
部屋のカードキーは2枚あり、そのうちの1枚を士門が持っている。
寝室のドアを開けようとした、その時。
ドアが数センチほど開いていて、その隙間から中での会話が漏れて来た。
「ファスナー下ろして」
「え、……ですが」
「いいから早く、士門さんが来る前に…」
「……では、失礼しま「ストーーーップッ!!そこまでにして」
今までなら絶対躊躇して聞かなかったことにしてただろう。
だけど、もう我慢することは止めにした。
「士門様っ」
「悪いが、それ以上彼女に触れないで……いや、違うな。俺の妻に触れるな」
「ッ?!……士門さん?」
「今日はここに二人で泊まるから、彼女に必要なものを明日の朝、ドアノブに掛けておいてくれ」
「……承知しました」
「後は俺がやるから、今日は上がってくれ」
「では、お先に失礼致します」
「二谷っ」
深々と一礼し、踵を返した二谷を呼ぶ彼女の手をぎゅっと掴んだ。
君に必要なのは『彼』ではなく、『俺』だろ?
「社長、専務、お疲れ様でした」
「お疲れさま」
式典を終え、機材の片付けをしている社員たち。
既に会場には来賓の姿はなく、ホテルスタッフと自社の社員だけ。
「春親」
「奥さんとこ、行きたいんだろ?」
「悪い」
「友香は戻って来ないと思うから、早く行ってやれ」
「サンキュ」
友香は自社サイトに殺到している問合せの対応で、会社にいる。
士門は式典会場に残るスタッフ達に声を掛けながら、その場を後にした。
*
二谷から預かったカードキーで部屋のドアを開ける。
まだ胡桃さんが寝ているかもしれないから、できるだけ静かに歩み進めて。
広々としたリビングに二谷の姿はない。
どこかに出ているのだろうか?
部屋のカードキーは2枚あり、そのうちの1枚を士門が持っている。
寝室のドアを開けようとした、その時。
ドアが数センチほど開いていて、その隙間から中での会話が漏れて来た。
「ファスナー下ろして」
「え、……ですが」
「いいから早く、士門さんが来る前に…」
「……では、失礼しま「ストーーーップッ!!そこまでにして」
今までなら絶対躊躇して聞かなかったことにしてただろう。
だけど、もう我慢することは止めにした。
「士門様っ」
「悪いが、それ以上彼女に触れないで……いや、違うな。俺の妻に触れるな」
「ッ?!……士門さん?」
「今日はここに二人で泊まるから、彼女に必要なものを明日の朝、ドアノブに掛けておいてくれ」
「……承知しました」
「後は俺がやるから、今日は上がってくれ」
「では、お先に失礼致します」
「二谷っ」
深々と一礼し、踵を返した二谷を呼ぶ彼女の手をぎゅっと掴んだ。
君に必要なのは『彼』ではなく、『俺』だろ?