好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
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新婚旅行先のホテルのバスタブに浸かること5分くらい?

士門さんは気を遣ってくれて、他愛ない話をしてくれている。
仕事のことや親友の時任さんのことを沢山話してくれた。

湯温は少し低めだからゆっくりと浸かっていられるけど。
別の意味で、のぼせてしまいそう。

背中に感じる彼の鼓動と肌の体温。
長い腕に包まれた抱擁感。
そして、頬にかかるアルコールがかった彼の吐息で。

彼はかなり度数の高いお酒を飲んでたけど、湯にこんなにも浸かって大丈夫なのかしら?

「長湯して大丈夫ですか?」
「え?」
「その……結構飲まれてたので」
「あぁ~、あれくらいなら全然平気。40度のウイスキーをグビグビ飲んでも、俺酔い潰れたりしないから」
「ッ?!!」
「まぁ、仕事で疲れてたり、体調不良の時はさすがに無理だけど」

す、凄すぎる。
酒豪の父親が『酒が強い』と言うくらいだから、かなり飲める口だとは思っていたけど。
次元が違いすぎる。

「胡桃の方が限界だよな。そろそろ上がる?」

『まだ大丈夫です』と言おうと彼の方にちょっとだけ顔を向けた。
すると、艶気たっぷりの視線が向けられていて、思わず釘付けになってしまった。

「……んっ」

吸い込まれるように、囚われるように見ていたら。
それが合図になってしまったようで。
彼の唇が、私の唇と重なった。

軽く啄められる口づけから、次第に深くなって。
絡めとられる舌先が、彼の熱に蕩けてゆく。

チュッと艶めいたリップ音が響く。
唇から首筋。
首筋から鎖骨へと這い伝う彼。

「まっ………て…」

タオルの折り返し部分に到達した彼の唇が、漸く停止した。

「かっ……わいぃ下着っ、用意してるんですっ」
「……今さらでしょっ。っつーか、この状況でさらにお預けって、どんだけドSなんだよっ」
「っっっ」
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