好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
(士門視点)
帰宅した俺は、キッチンから賑やかな会話が聞こえて来て、ついつい足がそこへと向いていた。
まな板の上に置かれた生イカを前に、ふるふると震わせた手で必死に格闘している妻。
俺のためにしてくれているのは分かっているが、健気すぎて悶絶ものだ。
「今日は何をしたらいいんですか?」
さっきまでの泣きそうだった彼女はどこへやら。
すっかり鼻歌まじりで俺の部屋着を用意している。
「まだ秘密」
「えぇ~っ」
楽しみは後にとっておかないとね。
7年越しの結婚記念日は、31年生きてきた中で一番幸せな日になった。
一目惚れした妻を、7年もの歳月をかけて熟成させたようなもの。
生粋の令嬢というだけでも俺にとったらプレミアムものなのに。
可愛くて美人でスタイルもよくて。
それにプラスして、『最初で最後の男』という称号まで得ることができた。
ゲーマー歴25年。
幾多の苦難(クエスト)を乗り越え味わったどの幸福と達成感よりも、あの一夜に勝るものはない。
「あ、そうだ。お義父さんから、専属契約の許可出たよ」
「本当ですかっ!?」
「うん」
「よかったぁ。これでコラボ作品つくれますね!」
宮古島から戻った俺は、彼女が『凱亞』だということをだいぶ前から知っていると篁社長に話した。
彼女が『凱亞』として初めてのコミック原作を手掛けたいという意向も踏まえて、ALKの代表として、ゲームクリエイターとして『凱亞』である妻とコラボ作品をつくりたいと懇願したのだ。
これでもかというくらいの詳細を記した企画書が、今日漸く承認されたのだ。
帰宅した俺は、キッチンから賑やかな会話が聞こえて来て、ついつい足がそこへと向いていた。
まな板の上に置かれた生イカを前に、ふるふると震わせた手で必死に格闘している妻。
俺のためにしてくれているのは分かっているが、健気すぎて悶絶ものだ。
「今日は何をしたらいいんですか?」
さっきまでの泣きそうだった彼女はどこへやら。
すっかり鼻歌まじりで俺の部屋着を用意している。
「まだ秘密」
「えぇ~っ」
楽しみは後にとっておかないとね。
7年越しの結婚記念日は、31年生きてきた中で一番幸せな日になった。
一目惚れした妻を、7年もの歳月をかけて熟成させたようなもの。
生粋の令嬢というだけでも俺にとったらプレミアムものなのに。
可愛くて美人でスタイルもよくて。
それにプラスして、『最初で最後の男』という称号まで得ることができた。
ゲーマー歴25年。
幾多の苦難(クエスト)を乗り越え味わったどの幸福と達成感よりも、あの一夜に勝るものはない。
「あ、そうだ。お義父さんから、専属契約の許可出たよ」
「本当ですかっ!?」
「うん」
「よかったぁ。これでコラボ作品つくれますね!」
宮古島から戻った俺は、彼女が『凱亞』だということをだいぶ前から知っていると篁社長に話した。
彼女が『凱亞』として初めてのコミック原作を手掛けたいという意向も踏まえて、ALKの代表として、ゲームクリエイターとして『凱亞』である妻とコラボ作品をつくりたいと懇願したのだ。
これでもかというくらいの詳細を記した企画書が、今日漸く承認されたのだ。