好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
「今はいないと思いますよ?」
「今は?……じゃあ、前はいたんだ」
「いたというか、……結婚してましたよ、去年まで」
「は?」
「年末に離婚したんですよ」
「……」
結婚してたの?!
マジかよ。
全然そんな素振り一度も見たことねーのに。
「二度目だから、結構サラッと言われたのには驚きましたけど」
「は?……えっ、二度目って、バツ2ってこと?」
「はい」
マジかよぉぉぉぉ~っ!!
何気に今年一番の驚きなんだけど。
「しかも、同じ女性なんですよ。ウフフッ」
「………ごめん、頭がついてかない」
『待った』をかけるみたいに片手を上げ、脳内の整理をはかる。
「えぇっと、どこから話せばいいかしら?……私が高校生の時に最初の結婚をして、2年半で離婚したんですけど、3年くらいして復縁?再婚したんですよね」
「……」
「で、昨年末に再離婚?っていうのかしら?同じ家に住んでいるけれど、戸籍上は別々になったそうです」
「……」
おいおいおいおい、相当やべー奴じゃん。
復縁するまでの経緯もちょっと理解しがたい部分があるけれど、嫌いで別れたのではなければあり得るかな?とも思う。
だけど、再離婚したいと思うほど気持ちが離れたのに、同じ家に住み続けられるもの?
意味不明すぎて、俺の頭じゃ理解不能だ。
そもそも、あいつが俺らですらできなかった恋愛をこの7年の間にしていたことが衝撃すぎて。
もう『完璧執事』として見れねーよっ!!!
「貴子さんの写真見ます?」
「見る!!」
「フフフッ、ちょっと待って下さいね」
名前は貴子、ね。
スマホのアルバムをスクロールした彼女の指がピタッと止まった。
「えええええええっ!熟女好きかよ!」
二谷の元嫁?は、俺らよりだいぶ年上の女性だった。