好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
「絵のモデルとか、ドッキリとか、冗談でもないんだよなッ!?」
「だから、そうだって言ってるじゃっんッ」
彼にぎゅっと抱き締められた。
「マジで心臓に悪いからっ」
ちょっとやり過ぎたかな。
こういうちょっとしたドッキリみたいなこと、いつも二谷にして来たから。
幼い頃から私の遊び相手は二谷しかいなかった。
いつでも余裕の顔をしてる二谷を困らせるのが、唯一の楽しみだった。
気づけばそれらが、ぶっ飛んでると思われてしまうような性格になった原因だ。
二谷は笑って受け入れてくれたけれど。
士門さんはまだまだ、二谷ほどの余裕はないらしい。
今日、定期検診で婦人科を訪れたら、妊娠8週目ということが分かった。
同じタイミングで貴子さんがつわりで体調不良になって。
気が動転した二谷のメモを活用させて貰った、というわけ。
士門さんに妊娠を報告するのを動画で撮っておくのもいいかな?と思って。
ダブルで驚かせようとしたのだ。
「もう一回確認するけど、本当に嘘じゃないんだよな?」
両肩を掴んだ彼が、真剣な顔で尋ねて来た。
スマホの動画を停止して、ライブラリの中から動画を呼び出す。
「見えますか?私たちの赤ちゃんです」
「この真ん中のが?」
「はい。……妊娠8週で、3ケ月だそうです」
「やべっ……すっげぇ嬉しい」
4D画像を見た彼が涙目で破顔し、再びぎゅっと抱きしめてくれた。
カレンダーに記されている地球のマークの日を中心に、彼が私を愛してくれたおかげだ。
正常な周期の女性よりも月経周期が長いから、妊娠できるチャンスは少ない。
だからこそ、彼は愛おしく私を求めてくれた。
「今日から毎日、水着の写真撮らして」
「はい?」
「どんな感じにお腹が大きく育ってくのか、記録しとかないと!」
いや、普通にダメでしょ!
恥ずかしいと通り越して、キモくて怖いですよっ、士門さん!!
~FIN~