好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
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生まれて初めて『コンビニエンスストア』というものに足を踏み入れた。
漫画のシーンで勿論描いたことはあるけれど、二谷が用意してくれた画像や動画を観て描いただけだったから。
こうやって自分の足で体験できたことが何よりも嬉しい。
それもこれも、士門さんのおかげだ。
店内のレイアウトや売られている商品にどんなものがあるのかは大体把握しているが、実際に目にしたのは初めて。
想像していた以上に感動ものだ。
「何か、欲しいものがあるなら一緒に買うけど」
「へ?」
欲しいもの?
「いえ、欲しいものがあったからではなくて」
「分かってるよ。来てみたかったんでしょ?」
「……はい」
クスっと笑われてしまった。
だけど、こんな自然体の彼を見たのは初めてで、胸がドキンと脈を打つ。
「あれが、ATMというやつですか?」
「え?…あぁ、うん。あれも未体験なんだね」
「……はい」
恥ずかしすぎる。
世間知らずもいいところだ。
「どんなものか、試してみる?」
「試せるんですか?」
「……フフフッ、もちろん」
さっきよりも笑われてしまったけれど、『コンビニ』が初めてだと先に伝えてあるから、羞恥心よりも好奇心の方が勝ってしまう。
「おいで」
「ッ!!!」
初めて触れて貰えた。
『形だけの妻』ではない時に。
右手にカゴ、左手で私の手を掴んだ彼は、ATMの機械の前に私を誘導する。
足下にカゴを置き、ポケットから財布を取り出した彼は、私を機械の前に立たせて、背後から覆い被さるように長い腕で操作し始めた。
生まれて初めて『コンビニエンスストア』というものに足を踏み入れた。
漫画のシーンで勿論描いたことはあるけれど、二谷が用意してくれた画像や動画を観て描いただけだったから。
こうやって自分の足で体験できたことが何よりも嬉しい。
それもこれも、士門さんのおかげだ。
店内のレイアウトや売られている商品にどんなものがあるのかは大体把握しているが、実際に目にしたのは初めて。
想像していた以上に感動ものだ。
「何か、欲しいものがあるなら一緒に買うけど」
「へ?」
欲しいもの?
「いえ、欲しいものがあったからではなくて」
「分かってるよ。来てみたかったんでしょ?」
「……はい」
クスっと笑われてしまった。
だけど、こんな自然体の彼を見たのは初めてで、胸がドキンと脈を打つ。
「あれが、ATMというやつですか?」
「え?…あぁ、うん。あれも未体験なんだね」
「……はい」
恥ずかしすぎる。
世間知らずもいいところだ。
「どんなものか、試してみる?」
「試せるんですか?」
「……フフフッ、もちろん」
さっきよりも笑われてしまったけれど、『コンビニ』が初めてだと先に伝えてあるから、羞恥心よりも好奇心の方が勝ってしまう。
「おいで」
「ッ!!!」
初めて触れて貰えた。
『形だけの妻』ではない時に。
右手にカゴ、左手で私の手を掴んだ彼は、ATMの機械の前に私を誘導する。
足下にカゴを置き、ポケットから財布を取り出した彼は、私を機械の前に立たせて、背後から覆い被さるように長い腕で操作し始めた。