好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜


「今の……どうやったんですか?」
「どうって、このコントローラーで幾つか技を繰り出しただけだけど」

対戦型のシュミレーションゲーム(SLG)にログインし、フレンド仲間と軽く手合わせ。
神ゲーマーと言われた俺の技に、あんぐりと口を開けた顔が可愛らしい。

引かれてはいないようだ。
まぁ、萌えゲーじゃないからかもしれないが。

「趣味が高じて仕事にしたことは前に話したと思うけど」
「……はい」
「プロ?……セミプロって言えば通じるかな?俺と時任はゲームの世界じゃ結構名の知れたプレイヤーで、会社を立ち上げた後もこうして毎日ログインして市場調査をしてるんだよね」
「えっ、そうなんですか?!」
「……引いた?」
「何をですか?」
「夫がゲーマーで」
「とんでもない!凄いと思います!!好きなことを極めて、それが仕事になって。しかも、それでアプリ界を牽引するほど影響力があるって、物凄いことだと思いますけど」
「っ……」

ドン引きされたらどうしようかと思ってたのに。
『絵師』というプロの世界で活躍している彼女には、俺のこの二次元オタクな生活もキラキラとしたものに見えるのかもしれない。

「こういうシュミレーションゲームだけじゃなくて、ロールプレイングも萌えゲーもするよ?」
「どんなゲームでも攻略できて、更に新たなゲームを造り出すとか、本当に凄いと思います!」

『萌えゲー』ってはっきり言ったのに。
聞き流したとは思えない。
TL漫画も描く絵師だからなのか、さほど気にも留めない様子。

「俺が部屋に籠ってエロゲーしててもいいの?」
「お仕事に必要なら……いえ、そうじゃなくて。士門さんに必要ならいいと思います」
「っっ」

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