好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
妻から難なく許可が下りるだなんて、思いもしなかった。
「それを言ったら私だって……。R指定の作画を描いてると聞いて、嫌になりませんか?」
「……別に。というか、胡桃さんにそういう知識があったんだと、俺はそっちの方が気になるけど」
「ッ?!!!」
俺の言葉に動揺する彼女。
耳まで真っ赤にして顔を逸らしてしまった。
ホント、可愛いなぁ。
見た目は清楚で可憐な感じなのに。
仕事をする時はどちらかと言えば、クリエイター気質というか。
髪や服装にもあまり気を遣わない感じが、お嬢様とは正反対で。
しかも、ちゃんとアダルトな世界も知ってるなんて。
『ロリ婚』した甲斐があったというもの。
神様、ありがとうございます!!
こんな可愛い奥さんを俺に与えて下さって!!
彼女を見てるだけで、新ゲームのイメージがどんどん湧いてくる。
「この間は無理やりキスして、本当にごめんね」
「……いえ、私の方こそ、取り乱してごめんなさい」
なんとな~くぎこちない雰囲気の中。
どちらからともなく自然と視線が交わる。
これって、すげぇいい雰囲気なんじゃね?
黒々とした大きな瞳が真っすぐと俺に向けられていて。
吸い込まれるように顔を近づけると……。
長い睫毛がゆっくりと下がり、膝の上に置かれた手がキュッと握られた。
いける!
この顔はまさしく、キス待ち!!
彼女の後頭部に手を添え、そっと唇を重ねた。
この間のキスよりも長く。
拒絶された感じもしない。
なんだ、できるんじゃん。
ちゃんと話し合って、お互いに歩み寄ろうとすれば。
こんな風に甘いキスも、……その先も?
何度か啄んで、キュッと結ばれた唇を割って舌を滑り込ませようとした、その時。
ドンッと、胸が強く押し退けられた。
「むっ、む……無理ですっ!!」
大きな瞳に涙を溜めた彼女がスッと立ち上がり、部屋を飛び出して行った。
―――――え?
チュッはよくても、ベロちゅーはNGってこと??