好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
(士門視点)

「っってぇ」

酒豪の士門は、シャンパン三杯くらいじゃ二日酔いにはならない。
けれど、過密スケジュールでの疲労と数日前のキス拒絶事件での精神的ショックが重なって、睡眠不足に陥っていた。

そこにレセプションでの緊張と飲酒。
ぎこちない妻と腕を組んでの挨拶回りで、精神的にも肉体的にも限界だったようだ。

レセプション会場を後にしたのは何となく覚えているが、その後の記憶が全くない。

目を覚ました士門はこめかみに手を当て、薄暗い天井をボーっと眺める。

いつの間にかパジャマにも着替えてる。
胡桃さんに言われて、二谷が着替えさせたのだろう……という考えに至った、次の瞬間。
視界に映った情景に、心臓がボンっと爆発したかと思った。

―――――え、どういう展開なわけ?

何故か、下着姿の胡桃さんが俺に抱きついて寝ているではないか。

何がどうしたらこういう展開になるんだ?
熱にうなされ酔った状態で、彼女の服を俺が脱がせたのか?

ってか、俺、………やらかした?

やべぇ、記憶にねぇぞ。

漫画の展開で言えば、この状態だと事後なんだけど。
いや待て。
少女漫画の世界なら、ただの添い寝か?

とにかく服を……。
彼女に何か着せないと、俺の方がヤバいって。

顔はあどけなさが残る清楚な感じなのに、下着は意外にもセクシーなものを着けてるとか。
何だよ、このギャップ。

しかも、幼妻だと思っていたのは俺の思い込みだったようだ。
普段服に隠れている部分は十分すぎるほどちゃんと育っているだなんて、聞いてねぇーっ。

寝ているだけの彼女に、勝手に体が……。

体を捻って、彼女の腕から逃れるようにベッドから出ようとした、その時。

「っん……気持ち……ぃいですか?」
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