好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
「ホント、可愛いなぁ」
スーツから部屋着に着替えながら、思わず笑みが零れる。
さっきから頬が緩みっぱなしだ。
彼女が『凱亞』だと打ち明けられてから、度々こうして絵のモデルを頼まれるようになった。
普段は二谷がしているみたいだが、二谷ではできないこともあるらしくて。
絵の世界のことはよく分からない。
だけど、こうして彼女に必要とされるのならば、幾らだって手伝ってあげたい。
カジュアルな格好に着替え、彼女のアトリエのドアをノックする。
「どうぞ」
開かれたドアの隙間からひょっこり顔を覗かせる胡桃さん。
マジで俺の天使。
その顔も超俺好み。
「今日は眼鏡じゃないんだね」
「え?……あぁ、はい。普段はコンタクトなんです」
「そうなんだぁ。眼鏡姿も似合ってて可愛いけど」
「かっ……わいぃ…ですか?」
「うん、可愛いよ」
あ~照れてる照れてる。
その顔も可愛いけどね。
ってか、何しても可愛いんだよなぁ。
俺の好みどストライクだから、怒ってても可愛く見える。
「失礼します」
二谷が酒やつみまをテーブルに置く。
「では、朝食の準備をしておりますので、終わりましたらお声掛け下さいませ」
「分かったわ」
……え。
俺ら二人きり?
仕事の時は大抵二谷もいるのに。
静かに部屋を後にした二谷。
「では、早速なのですが…」
ソファの後ろに置かれていたものを手に取り、ソファ横にそれを置いた。
「この中に立って貰えますか?」
「この中に?」
「はい」
「……これでいいの?」
「はい」
小さく頷いた彼女は、真剣な眼差しを俺に向けた。
そして―――。
「今から服を脱ぐので、そのフープの中から動かずに見てて下さい」
「は?」