好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜

俺の妻は、時々…。
いや、常に言動がおかしい。
『凱亞』という人気絵師なのは分かるけど。
ちょっと……どころじゃないくらい、脳内がかなりぶっ飛んでる。

フープの中に立って、動かずにいろ……というのは理解できても。
今から服を脱ぐから、じっと見てろって、どういうこと??

脳内が軽くクラッシュしたみたいになってるのに。
胡桃さんは、着ているブラウスのボタンを外し始めた。

待って、ちょっと待ってってばッ。
何これ。
何かの罰ゲーム的なやつじゃないよね?
ってか、ドッキリか何かなの?
どこかに隠しカメラがあるとか??

パニクる脳内が弾き出した答えは、俺を揶揄ってるんじゃ?的な答えだった。

「士門さん、……キョロキョロしないで、私を見てて下さい」
「っっ……」

んだよっ。
意味分かんねぇ。
見てていいなら、マジで見るよ?

俺の妻だし。
俺は夫だし。
二人きりだし。
別に法に触れるようなことでもないし。

未だかつてない展開に動揺しながらも、目の前で服を脱ぎ始めた彼女を黙って見つめる。

やばっ。
何これ。
見てるこっちがハズいじゃん。

無意識に口元を手で覆った、その時。
俺の動作をじっと見据えていた彼女と視線が交わった。

けれど、なおも脱ぎ続ける彼女。

一体何なの?
何のプレイだよっ。

白いブラウスのボタンが全部外され、中から黒い下着?
いや、水着??
ビキニらしきものがちらりと見える。

そして、穿いているスカートのファスナーを下ろし、すとんとスカートが床に落とされた。

「っ……」

することが分かっているのに、ドキドキが止まんねぇ。
俺、顔が赤くなってないか?
今の俺、どんな顔をしてるだろう。

「凄く助かりました」
「……何だったの?」
「何って、挿絵のモデルですけど」
「……」
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